インドホシガメとパンケーキガメがワシントン条約(CITES)1類になりました!

更新:2019.12.8

2019年(令和元年)11月26日(火)より新たに国際希少野生動植物種(サイテス1類)に指定される、インドホシガメパンケーキガメの登録がはじまりました。
これにより、今後この2種は国際取引が出来なくなり、今後は現地で採取された野生個体が輸入されることが無くなりました。
数年前まで、比較的安価に販売されていたこの2種なので、自宅で飼っている方も多いと思います。今回はサイテス1類に上がったことで飼育者にどのような手続き、負担があるのかを説明してみたいと思います。

どのような書類がいるの?

1)入手確認書類

まず、新規指定種の登録申請において、申請者が「規制適用前」に入手したことを証明するための確認書類が必要となります。

確認書類(どれか1つ)

① 輸入時の通関書類(申請者本人が自ら輸入した場合)
② 購入した時の納品書や領収書
③ 生体販売説明書
④ 診断書(2019 年11月25日以前の診療記録に限られます。)
※ 提出書類は記載事項が正しく記述されている必要があります。

2019 年 11 月 25 日(月)以前に国内で繁殖した個体は以下の⑤、⑥の書類が両方とも必要となります。

国内繁殖個体に必要な書類

⑤ 繁殖の経緯を詳細に説明した文書および写真
⑥ 診断書(2019 年11月25日以前の診断記録に基づくもの)
※ 繁殖の経緯が確認できない個体は登録できません。

2)マイクロチップ関係の書類

次に、獣医師によるマイクロチップの挿入と、個体識別措置を証明する書類と写真が必要です。

マイクロチップの挿入

マイクロチップの挿入ですが、これは事前に爬虫類にマイクロチップを挿入できる病院を探す必要があり、都道府県によっては遠いところまで行かないと病院が見つからない場合があります。
費用は病院によってはまちまちで、チップの挿入と登録で5,000円~10,000円の費用がかかります。
マイクロチップは直径約2mm、長さ約10mmのバイオマテリアルの一種の素材でできた物でできており、カメの場合は左後股皮下に専用の注射器で挿入します。
チップの挿入が完了したら、次にマイクロチップリーダーを当てて表示された個体識別番号と生体を一緒に写るように写真を撮影をします。
※写真に関しては獣医師が撮影する必要はありません。
※申請前1か月以内の写真が必要です。
マイクロチップ写真ですが5年に一度の申請のたびに病院に行き撮影するのが面倒であれば、マイクロチップリーダーを購入し、自宅で表示する方法もあります。
Delaman – マイクロチップスキャナ、FDX-B ISO
↑挿入するマイクロチップが読み取り可能か購入前に確認してください。

マイクロチップ関係の必要書類

⑦ 獣医師によるマイクロチップの証明書
⑧ マイクロチップ登録番号と生体が同時に写っている写真
※マイクロチップの埋め込みについては、規制後でもかまいません。

3)大きさや取得経緯の書類

生体の写った写真と大きさ、測定、取得経緯の自己申告書が必要となります。

測定

⑨背甲長(甲羅の縦の長さ)
⑩背甲幅(甲羅の横の長さ)
⑪体 重(単位はgで計測)
⑫性 別(性別が解らない場合は「 雌雄不明 」 とする)
※①と②の測量はノギスで計測すること。
その他、明確な特徴があれば「その他の特徴」として記載する。
自然環境研究センター →1.登録申請書 のファイルをダウンロードし、記入例に基づいて記載する

写真(カラー写真)

⑬背甲写真(甲の形状や特徴が確認できるもの)
⑭背甲写真(甲の形状や特徴が確認できるもの)
⑮左向写真(甲の形状や特徴が確認できるもの)
⑯正面写真(頭部と前足を含む)
※添付した別紙と対応させた通し番号を各写真に記載する。
※撮影日がわかるように写真の裏か写真を貼付印刷した用紙に撮影日を記載。
自然環境研究センター →3.写真 のファイルをダウンロードして記載する。

取得経緯の自己申告書

⑰取得経緯の自己申告書
※何時、何処で、誰からの入手かその時の状況等の具体的な情報を記載する。
自然環境研究センター →4.取得経緯の自己申告書をダウンロードして記載する。

4)本人確認書類

最後に申請者、本人の身分が証明できる書類が必要です。
個人の場合は下記のどれか1つが必要になります。

申請者の本人確認書類(どれか1つ)

⑱運転免許証
⑲保険証
⑳住民票かその他公的機関の発行している証明書

費用はどれくらいかかるの?

費用ですが、マイクロチップの費用5,000~10,000円、自然環境研究センターの登録料が1個体につき5,000円かかり、合計10,000~15,000円ほどかかる計算になります。
複数匹飼っている方は結構な負担になってしまいます。

申請しないとどうなるの?

飼育や所持の規制ではありません

2019年11月25日より以前から法令を遵守し所有している個体を、所有者が今後も飼い続けるのであれば登録は必要はありません。
2019年11月26日より販売される個体はショップで全て申請されている個体のはずです。
現在、販売されている個体で番号が無いのは違法となっていますので、ご注意ください。

なぜ登録が必要なの?

今後、生体を生涯飼育するのであれば申請はいりませんが、もしなんらかの都合で知人に譲渡する場合や、ペットショップに引き取ってもらう場合、繁殖を行う場合に登録票が必要となってきます。
これは有償、無償にかぎらず、売る・買う・あげる・もらう・預ける などの行為を行う際には必ず登録票が必要になります。

販売目的での陳列や広告をする場合も登録票を備え付ける必要があり、
「登録記号番号」「登録年月日」「登録の有効期間の満了日」
の記載が義務付けられています。
紙媒体やインターネット上での広告も記載が必要です。

登録しないで譲渡や繁殖、陳列した場合の罰則

もし登録しないで、売る・買う・あげる・もらう・預ける・展示するなどの行為をした場合、種の保存法違反 となり下記のような罰則になります。

違法な譲り渡し
個人:5 年以下の懲役若しくは 500 万円以下の罰金又はこれらの併科
法人:1 億円以下の罰金

違法な陳列又は広告
個人:1 年以下の懲役若しくは 100 万円以下の罰金又はこれらの併科
法人:2000 万円以下の罰金

不正な手段での登録又は更新
個人:5 年以下の懲役若しくは 500 万円以下の罰金又はこれらの併科
法人:1 億円以下の罰金

いつまで?どこに申請するの?

新規指定種の登録申請先は一般財団法人 自然環境研究センターになります。
この記事をここまで読んでいただけたら、必要な書類も解っていると思いますので、自然環境研究センターに電話して手続きをすすめれると思います。

申請期日ですが、新規申請の期限はないみたいです。ただ登録がある個体を譲り受けたり、ペットショップより購入した場合は30日以内に変更をしないといけません。

登録が完了したら

生体の登録は5年の有効期間が設定されており、5年ごとに更新が必要となってきます。
更新を怠ると、無登録の個体と同じになってしまい、再度新規登録もできなくなります。
更新が行える期間は、有効期間の満了日の6ヶ月前から満了日の前日までとなっていますので、必ず更新は行うようにしましょう。

最後に思う事

インドホシガメとパンケーキガメは、数年前までベビーであれば10,000円以内で購入できた比較的安価な亀でしたが、現在の個体価格は数万円となっており、今後はサイテスが格上げになったことで今後も値段も上がってしまう可能性が予想されます。
カメは寿命も長く飼育設備も大がかりなものが多く、何らかの都合で飼うことができなくなった方が野外へ逃がさないかと心配です。
(ペットショップも無登録の個体は引き取らないと思いますので、、)
今後、販売者や購入者が不正な事をして、悪いニュースにならない事を願っています。

写真提供:WING21
特集記事