爬虫類の病気について!

更新 2019.12.19

爬虫類も生き物なので、輸入や配送によるストレス、間違った飼育、ケージの掃除をしなかったなどで病気になってしまいます。
今回は爬虫類がなってしまう病気を簡単に紹介します。

爬虫類に寄生しておこる病気

寄生系の病気は外部寄生虫内部寄生虫があり爬虫類の体に潜伏、寄生して生きています。おおきく線虫類」・「吸虫類」・「原虫類の3つに分けられます。

外部寄生虫

外部寄生は線虫、吸収が多くみられ目視で確認ができます。
野生のカメレオンには線虫、蛇やトカゲはダニが多く他の個体にも移るので治療が必要になります。

線虫類(外部寄生)

線虫類がひも状で皮膚下に寄生した状態です。治療方法は動物病院で切開し取り出して治療します。

吸虫類(外部寄生)

外部寄生で吸虫の代表といえば「ダニ」です。
ダニは爬虫類の皮膚や鱗の間、ヒダがある場所などに寄生し、血を吸い取ってしまいます。病気を持った爬虫類の血を吸ったダニが他の爬虫類に再度寄生することで、病気が蔓延してしまうので、早めの対処が必要です。

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内部寄生虫

内部寄生虫はその名の通り、体の内部(内臓)に潜んでいる寄生虫です。
野外捕獲の生体(ワイルド個体)や野外の餌を与えている個体に多くみられます。

セミ、コオロギなどを野外で採取した場合、生きたままではなく一旦冷凍し、解凍して与えると寄生虫のリスクが減ります。

線虫類(内部寄生虫)

線虫類ではカイチュウ、ギョウチュウ、フィラリアなどがあります。
リクガメや大型のトカゲに多く、線虫が肺にいた場合は肺炎など呼吸系の症状がでます。内臓や頭部にも寄生する場合があり、内臓にいた場合は口から排出されるか便と一緒に排出され、多頭飼いの場合は全てに感染している可能性があるので、早期の治療が大事です。
薬はフェンベンダゾールが有効。ただし卵には効果がないため、2週間に1回を数回繰り返すことで駆除ができる。

吸虫類(内部寄生虫)

吸虫類ではサナダムシ、ジストマ、エキノコックスなどがあります。
症状は下痢、体重減少、食欲不振などで、サナダムシとエキノコックスは糞便から感染し、ジトマスは水から感染します。薬はプラジクアンテルが有効。

原虫類(内部寄生虫)

原虫類ではクリプトスポリジウム、マラリア、トキソプラズマ、コクシジウムなどがあります。
症状は軟便・下痢便、食欲不振などでメトロニダゾールの投薬が有効です。
特にクリプトスポリジウムは感染力が強く、感染してしまうと治療が難しいので感染させないことが大事です。

飼育過程で起こる病気

クル病(骨代謝疾患)

クル病(骨代謝疾患)とはカルシウムの摂取量が少ない場合や、カルシウムの吸収に必要なビタミンD3が不足している場合(体内のカルシウム吸収量が減少する)、骨が柔らかくなり体がささえられなくなってしまう病気です。
上記以外の症状は低カルシウム血症のための四肢のしびれ・痙攣発作・不全麻痺等などの神経症状です。
クル病になるということは適性な世話がなされていないことが多く、飼育機器や飼育方法を見直しましょう。
改善には紫外線ライトや日光浴不足することでビタミンD3不足解消、餌にカルシウムを添加することが有効です。
ただ、一度クル病になると完全に治療できない場合が多いので、ならないことが大事です。

マウスロット

マウスロットは爬虫類の口内炎みたいなもので、餌を食べた際に口内に傷ができ、そこに細菌が感染することでおこります。
症状は細菌感染により膿がたまってしまいます。症状が進むと、上顎、下顎、頭部の腫脹や歯牙の脱落、視力障害などが起こります。重度では餌が食べれなくなり死亡することもあります。
治療方法は、膿を取り除き消毒薬や殺菌薬で洗浄、抗生物質やビタミンの投与を行います。餌が食べれない場合は強制給餌を行います。

脱皮不全

脱皮不全は脱皮の際に湿度が足りない場合や、こすりつける場所がない場合などに脱皮が完全にできない状態のことです。
そのままにしておくと脱皮できていない箇所の欠損がおこってしまいます。
ピンセットで皮をとってあげたり、ウエットシェルターの設置をしましょう。

ピンセットで皮をとる場合、ぬるま湯で温浴をさせてから取りましょう。

拒食

拒食は環境の変化や体調が悪い場合に餌を食べなくなってしまう症状です。
輸入直後やイベントで購入した個体に多く、色々なストレスのために餌を食べなくなってしまいます。
餌を食べないと、体力や免疫力の低下が起こってしまい、他の病気になってしまう場合があります。
例外として脱皮前や産卵前は一時的に虚飾になる場合があります。

尾の自切、骨折など

自切

トカゲやヤモリの中では危機を感じると尻尾を自ら切ってしまう行為を行う種類がいます。過度なストレスやハンドリングはさけましょう。

骨折

骨折のほとんどが、飼い主の不注意で、ケージに挟んだり、落下などがあります。

脱腸

脱腸は総排泄孔から腸が出てしまう病気で、原因は異物の誤食による消化管閉塞、寄生虫、細菌、ウイルスなどのさまざまな要因でおこります。
床材の見直しやケージ内に誤食の原因となる物を置かないようにしましょう。

まとめ

現地で採取され輸入されている爬虫類は、ほぼ100%なんらかの寄生虫や病原菌を持っており、ペットショップでは駆除されずに販売している店がほとんどです。
購入前に、ワイルド個体(採取個体)か繁殖個体かを確認するのはもちろん、あらかじめ病気に対する知識と治療方法を覚えておきましょう!
購入後も適性な飼育方法と掃除をし、生体の免疫力を落とさない努力と病気を持ち込まない努力が必要です。新しく迎えた個体は一時隔離し、病気の有無を確認後、治療が終わるまで一緒にしないことが大事です。

爬虫類ショップやカフェ、イベントなどで他の爬虫類や動物と触れ合ったあとは、十分に手洗いをし、自宅のペットと触れ合うようにしましょう。

管理人
管理人
病気の治療は獣医師のもと、適性に行ってください。生体お迎え前に近くの爬虫類対応の動物病院を見つけておきましょう。

写真提供:CANDLE

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